イラスト経験は3Dモデリングに活かせる?実際に感じた相性の良さ
私は現在、在宅で3Dキャラクターモデル制作の仕事をしています。
主にVTuberさん向けの、VRM形式のちび3Dモデルを制作しています。
もともとはイラストやLive2D制作などをしていて、Blenderを本格的に始めたときは、3Dモデリング初心者でした。
でも実際に3D制作を始めてみると、イラストを描いていた経験がかなり役立つ場面がありました。
もちろん、イラストと3Dはまったく同じではありません。
むしろ、イラストでは自然に見えていた表現が、3Dにするとそのまま再現しにくいこともあります。
それでも、キャラクターのかわいさを考える感覚や、色の組み合わせ、立体を想像する力などは、3D制作にもかなり活かせると感じています。
この記事では、イラスト経験が3Dモデリングにどう活きたのか、実際にちび3Dモデルを作って感じたことをまとめます。
「イラストを描いているけど、3Dにも興味がある」
「Blenderを始めてみたいけど、自分に向いているか不安」
「イラスト経験を別の形で活かしたい」
そんな方の参考になればうれしいです。

イラスト経験は3Dモデリングに活かせる?
結論から言うと、イラスト経験は3Dモデリングにかなり活かせると思います。
特に、キャラクターモデル制作では役立つ部分が多いです。
たとえば、
- キャラクターのかわいさのバランス
- デフォルメ感
- 色の組み合わせ
- 衣装や髪型の見せ方
- 表情の作り方
- 立体を想像する感覚
- 完成後の見せ方
こういった部分は、イラストを描いてきた経験がそのまま活きる場面がありました。
3Dモデリングというと、どうしても「難しいソフトを使う技術」というイメージが強いかもしれません。
もちろん、Blenderの操作や3Dならではの知識は必要です。
でも、キャラクターを作る場合は、ただ形を作れればいいわけではありません。
「かわいく見えるか」
「キャラクターらしさが出ているか」
「正面から見ても、横から見ても違和感がないか」
「表情を変えたときに魅力的に見えるか」
そういった部分もとても大切です。
そのため、イラストでキャラクターを描いてきた経験は、3Dモデル制作でも大きな強みになると感じました。
ちびキャラのバランス感覚が役立った
私が制作しているのは、主にちびキャラ風の3Dモデルです。
そのため、イラストでちびキャラを描いていた経験はかなり役立ちました。
ちびキャラは、ただ頭を大きくして、体を小さくすればかわいくなるわけではありません。
頭の大きさ、目の位置、顔の丸さ、手足の短さ、体のボリューム、シルエットなど、少しの違いで印象が変わります。
イラストでも、ちびキャラを描くときは、
「この頭身だとかわいく見えるかな」
「目の位置は少し下げた方が幼く見えるかな」
「手足は細すぎない方が丸くてかわいいかな」
「髪の毛のボリュームはどのくらいがちょうどいいかな」
と考えながら描いていました。
その感覚は、3Dモデルを作るときにもかなり近いです。
特にちび3Dモデルの場合、正面から見たときのかわいさだけでなく、横から見たときの丸みや、動いたときのシルエットも大切になります。
イラストで「かわいく見えるバランス」を考えてきたことは、3Dでもそのまま活きていると思います。
色やデザインの組み合わせを考えやすい
イラスト経験があると、色やデザインの組み合わせも考えやすいです。
3Dモデルは形だけでなく、色やテクスチャの印象もとても大切です。
同じ形でも、色の置き方や影の入れ方、顔の描き込み方によって雰囲気が変わります。
イラストを描いていると、自然と
「この色をメインにするとまとまりやすい」
「差し色はここに入れると目立つ」
「顔まわりに明るい色があるとかわいく見える」
「髪色と衣装の色がケンカしないようにする」
といったことを考える機会があります。
その感覚は、3Dモデルのテクスチャを作るときにも役立ちました。
特にキャラクター制作では、ただ資料通りに色を置くだけでなく、3Dになったときにどう見えるかも考えます。
正面から見たときにかわいいか。
小さく表示されたときにも印象が伝わるか。
表情を変えたときに顔が暗く見えないか。
こういった部分は、イラストで色を扱ってきた経験があると考えやすいと感じます。
イラストで考えていた「立体感」が3Dでも役立った
イラストを描いていると、平面の絵であっても、頭の中では立体を想像していることが多いです。
正面から見えている部分だけでなく、
「この髪は頭の丸みに沿って奥に回り込んでいる」
「この袖は腕を包むようについている」
「この服は体に沿って重なっている」
「このパーツは横から見たら少し出ている」
というように、見えていない部分も想像しながら描きます。
この「回り込み」や「奥行き」の感覚は、3Dモデリングでもかなり役立ちました。
3Dでは、正面だけではなく、横から見ても、斜めから見ても、後ろから見ても形が必要です。
イラストなら正面の見た目だけで成立する部分も、3Dでは立体として作らなければいけません。
そのときに、いろいろな角度のイラストやポーズを描いてきた経験があると、頭の中で形をイメージしやすいと感じました。
たとえば、髪の毛を作るときも、正面から見える束だけではなく、横に回り込む髪や、後ろ髪とのつながりを考えます。
服も、正面のデザインだけではなく、横から見た厚みや、後ろ側のつながりを考える必要があります。
イラストと3Dは違うものですが、イラストで「この形は奥に回り込んでいる」と考えていた感覚は、3D制作でもかなり活かせる部分だと思います。
表情や見せ方の感覚も活かせる
キャラクター制作では、表情もとても大切です。
特にVTuberさん向けの3Dモデルでは、通常の表情だけでなく、笑顔、怒り顔、悲しい顔、驚き顔など、いろいろな表情を作ることがあります。
このときも、イラスト経験が役立ちました。
イラストを描いていると、
「目を少し細めると優しく見える」
「眉の角度で感情が変わる」
「口の形で元気さや照れが出る」
「ほっぺや目元の描き方でかわいさが変わる」
といった感覚が身につきます。
3Dでも、表情を作るときは同じように、目・眉・口・頬のバランスを見ながら調整します。
ただ動けばいいのではなく、そのキャラクターらしい表情になっているかが大切です。
また、完成したモデルをSNSに投稿するときの見せ方にも、イラスト経験は活きます。
どの角度から見せるとかわいいか。
どんなポーズにすると魅力が伝わるか。
サムネイルや紹介画像で、どこを目立たせるか。
こういった部分は、イラストの構図や見せ方を考えてきた経験があると、かなり考えやすいと思います。
イラストの表現を、そのまま3Dにできないこともある
一方で、イラスト経験があるからこそ、3Dとの違いに悩むこともあります。
イラストでは、見た目をきれいに見せるために、あえて少し“嘘”を入れることがあります。
たとえば、キャラクターの三面図や立ち絵で、スカートの両端が少し上がって、円を描くようなシルエットになっていることがあります。
正面から見たときには、とてもかわいく見える表現です。
デザインとしても分かりやすく、キャラクターの印象を引き立ててくれます。
でも、3Dモデルにする場合は、正面だけでなく、横や後ろ、裏側の見え方も考える必要があります。
イラストでは「正面からきれいに見える形」として成立していても、3Dでは実際に裏側まで形を作るので、
「このスカートの端は、本当に立体として上がっているのか」
「横から見たときも自然に見えるのか」
「後ろ側はどうつながっているのか」
「動いたときに破綻しないか」
「元のイラストのかわいさを残しつつ、3Dではどう解釈するか」
を考える必要があります。
こういう部分は、クライアントさんと相談しながら決めることもあります。
イラストの雰囲気を大切にしつつ、3Dモデルとして自然に見える形に落とし込む。
ここは、イラストと3Dの違いを強く感じる部分でした。
3Dには3Dならではの難しさがある
イラスト経験は3D制作に活かせますが、それだけで全部ができるわけではありません。
3Dには、3Dならではの難しさがあります。
たとえば、
- 正面だけでなく、横や後ろも作る必要がある
- モデルが動いたときの見え方を考える必要がある
- 髪や服が体にめり込まないように調整する必要がある
- UV展開やテクスチャ作成が必要になる
- ボーンやウェイト、表情設定などの作業がある
- 最終的にUnityやVRM形式で調整する必要がある
こういった部分は、イラストとはまったく違う作業です。

特に、3Dモデルは「動かす」ことを前提に作るので、静止画としてきれいに見えるだけでは不十分なことがあります。
正面から見たらかわいくても、横から見ると形が不自然だったり、動かしたときに服や髪が体にめり込んだりすることもあります。
そのため、イラストの感覚だけでなく、3Dの知識も少しずつ身につけていく必要があります。
でも、最初から全部を完璧に理解する必要はないと思います。
私自身も、実際に作りながら、分からないところを調べて覚えていきました。
イラスト経験はあくまで土台であり、そこに3Dの知識を少しずつ足していく感覚です。

イラスト経験者が3Dを始めるなら、まずは好きな形で作ってみるのがおすすめ
イラスト経験がある方が3Dを始めるなら、まずは自分が好きな形で小さく作ってみるのがおすすめです。
最初から難しいモデルを作ろうとすると、途中で大変になってしまうこともあります。
でも、自分が好きなキャラクターや、得意なデザインの方向性で始めると、分からないことがあっても続けやすいです。
私の場合は、ちびキャラが好きだったので、最初からちびキャラの3Dモデルに絞りました。

等身の高いモデルやリアル寄りのモデルではなく、自分が描いていて楽しいデフォルメキャラクターを3Dにする。
そう決めたことで、制作の方向性が分かりやすくなりました。
イラスト経験者だからこそ、最初に「自分はどんなキャラクターを作りたいのか」を考えやすいと思います。
かわいい系なのか、かっこいい系なのか。
デフォルメなのか、等身高めなのか。
VTuber向けなのか、ゲーム向けなのか。
オリジナルキャラクターなのか、ファンアートなのか。
まずは、自分が作りたいものを決めて、そこから必要なことを覚えていくのも一つの方法です。


まとめ|イラスト経験は、3Dを始める強みになる
イラスト経験は、3Dモデリングにかなり活かせると思います。
特にキャラクターモデル制作では、
- かわいさのバランス
- デフォルメ感
- 色やデザインの組み合わせ
- 立体を想像する感覚
- 表情作り
- 見せ方
といった部分で、イラストの経験が役立ちました。
一方で、イラストの表現をそのまま3Dにできないこともあります。
イラストでは正面からきれいに見える表現でも、3Dでは横や後ろ、裏側、動いたときの見え方まで考える必要があります。
その違いに悩むこともありますが、そこを考えながら立体に落とし込んでいくのも、3D制作のおもしろさだと感じています。
イラストを描いてきた経験は、決して無駄にはなりません。
むしろ、自分の得意な絵柄やデザイン感覚を3Dに活かすことで、自分らしい作品につながることもあります。

これから3Dモデリングを始めてみたい方は、まずは自分が好きなキャラクターや、作ってみたい形を決めて、小さく一つ作ってみるのがおすすめです。
イラストで培ってきた感覚が、3D制作の中でもきっと役に立つと思います。

